【76冊目】『どろんこハリー』
/作:ジーン・ジオン 絵:マーガレット・ブロイ・グレアム 訳:わたなべ しげお
お風呂がだいきらいな犬のハリー。ある日、お風呂にお湯を入れる音が聞こえると、からだを洗うブラシをくわえ、裏庭に埋め、家から逃げ出してしまいます。
外でたくさん遊んだハリーが家に戻ってくると……。
「黒いぶちのある白い犬」と「白いぶちのある黒い犬」が表紙のこちらの絵本。
私が子どもの頃、何度も繰り返し読んでいた大好きな絵本の1つです。
元々『Harry the Dirty Dog』として1956年にアメリカで出版されました。日本では1964年にわたなべしげおさんの翻訳で福音館書店より出版。その後、今なお愛されるロングセラーとなりました。
一番の魅力はハリーの無邪気さ。それがなんだか溜まらなく愛らしく感じるのです。
「なんでだろう?」と考えいると、妙に我が子の行動とリンクするのです。
お風呂が嫌いなところも、ドロドロになるまで夢中で遊んでしまうところも、結局、自分の家が大好きなところも…。
もしかすると、私のように自分の子どもや、飼っているペットと似ていると感じている人、多いのではないでしょうか?
それが、ハリーを愛してしまう理由の1つなのかもしれません。
毎日、一緒にいるとげんなりなってしまうような行動も、客観的にみると、くすっと笑えて、ほほえましく思えたりしますよね。
となると、子どもたちを惹きつけているのは、「共感」なのかな。
共感して絵本の中に入り込むことで、ちょっとのドキドキ感と最後の安心感を楽しめるのかもしれません。
もう一つの魅力はイラスト。
とっても温かみのある印象的なイラストですよね。人々の表情や街並みも丁寧に描かれています。
また、よく見ていると黒と白、オレンジ、緑の4色しか色が使われていないことに気付きます。
絵本と言えば、鮮やかにたくさんの色で描かれているものが多いいんしょうなので、少し珍しいと感じました。
だけど、そこに暗さは感じず、それこそが逆に温かみを感じる理由なのかもしれません。
大人も子どもも読んだ後にほっこりした気持ちになれる、魅力いっぱいの1冊です。
洋書版『Harry the Dirty Dog』も英語ならではのリズム感が楽しくておすすめです。
比較的簡単な英語なので、読みやすいですよ♪