【61冊目】『あきらがあけてあげるから』
くやしい。ボクはくやしい。ボクはチョコがたべたいんだけど、このふくろ、あけにくいんだよ。
チョコの袋を自分であけたいけれど、あけられないあきら。
いつか大人になったら、自分の分もみんなの分も、なんでも全部あけちゃう「なんでもあけるやさん」になることを考えます。
人気作家ヨシタケシンスケさんのこれまた人気なPHPユーモア絵本シリーズからの1冊です。
このシリーズ、我が家でも大人気で「ヨシタケさんの小さい四角シリーズ」と呼んでおります。
その中でもこちらの『あきらがあけてあげるから』は息子の大好きな絵本です。
好きすぎて、読みすぎて、丸々覚えてしまったので、まだ文字が読めるようになったばかりの頃からスラスラ読んでいました。
あきらの「なんでもあけるやさん」という夢のスケールの大きさに笑っちゃいます。
だけど、そんなスケールの大きなところも含め、ヨシタケさんが描く子どもたちはとてもユニークでありながら、とてもリアルだなと感じます。
私の娘にも「飛行機やロケットで世界中に(宇宙にも)パンを届ける」「幸せになる粉を発明してパンを配りながらそれをふりまいて世界を平和にする」という壮大な計画があるようです。
お菓子の袋をあけたい、パン屋になりたい、そんなささやかで身近な願いが、子どもたちにかかればこんなにも大きく膨らむ、その発想の豊かさに本当にいつも驚かされます。
できないのは「まだちいさいから」それだけ。
子どもたちの未来は無限に広がっているのですね。
ユーモアに溢れ、かわいいあきらだけでなく、この本には他にも魅力がいっぱいです。
次々といろんなもののフタをあけていくページでは気持ちのいいオノマトペをこれでもかというほど楽しめます。
よーく気をつけて絵本を読んでいくと、同じシリーズ絵本の「なつみ」や「もれたろう」、「わごむの女の子」がちらっと登場しているのも、ヨシタケさんファンとしては心をくすぐられるところです。
そして、何といっても素敵なのがおとうさん。
「これあけて」と言われ面倒だと感じるどころか、何だかうれしそうにしている。
子どもと過ごす「いま」という時間の短さに気付き、大切にしているのが伝わります。
あれして、これしてと手のかかることに大変さを感じることの方が多かったのですが、あーそっか、手がかからなくなるということは、子どもたちが自分から離れていくということなのか、と気付かされました。
あきらに笑わされ、おとうさんにハッとさせられる、大人も子どもも楽しめる1冊です。